手遅れになる前に——ケース2

いつもご覧いただきありがとうございます。

先日のお知らせでお伝えした通り、今回より5つの具体的な事例を一つずつご紹介いたします。

相続の準備といえば「遺言書」と思い浮かべる方は多いものの、それ以前の段階——つまり、家族で相続の話題をきちんと話し合える環境を整えることが、実は最も重要で、かつ難しい部分です。
当オフィスでは、ご相談者さま方にしっかりと寄り添い、「話し合いの場づくり」のお手伝いをします。

たとえばこんなケースがあります。

「相続」が「争続」に変わる典型的なケース1~5の概略はこちら。

2.【再婚・連れ子】前妻・後妻、異母・異父兄弟姉妹がいるケース

〈事例〉

Bさん(72歳)は、30年前に前妻と離婚し、その後、現在の妻Cさんと再婚しました。再婚後は穏やかな生活を送り、Cさんの連れ子(Dさん)とも親子同然の関係を築いてきました。BさんとCさんとの間に実子はいませんが、Bさんには前妻との間に二人の子ども(Eさん・Fさん)がいます。

長年家族として暮らしてきたCさんとDさんにとって、Bさんの存在は大黒柱であり、心の支えでした。しかしBさんが突然亡くなり、遺言もないまま相続手続きが始まります。

やがて、Bさんの前妻との子どもたち(Eさん・Fさん)が「私たちには当然、法定相続分がある」と主張し、正式な相続人として手続きを進めるよう求めてきました。

一方、CさんとDさんは大きく動揺します。
「この家を守ってきたのは私たちなのに…」
「Dにとっては本当の父親のような存在だったのに…」

しかし、法律上、Dさん(連れ子)には一切の相続権がありません。
Bさんが遺言もなく、養子縁組もしていなかったためです。

Dさんにとっては、「親子としての実感が否定されたような思い」が残り、Eさん・Fさんにとっても「父に見捨てられたような気がする」という葛藤が残りました。調停を経てもお互いの感情は平行線をたどり、「愛情の深さと法律は別」という冷酷な現実に、双方が疲弊していきました。

〈教訓〉

家族構成が複雑な場合こそ、生前の備えが極めて重要です。
以下の2つの対策を講じておけば、今回のような争いは未然に防げた可能性が高いと言えます。

遺言公正証書の作成

再婚・連れ子などが関係する相続では、「法律」と「気持ち」にズレが生じやすくなります。
Bさんのように、「現在の妻や連れ子に何かを残したい」と思っていたとしても、その意思は遺言書などで明確にしなければ法的に実現されません。

また、連れ子には法定相続権がないため、何かを遺したいのであれば、「遺言による遺贈」か「養子縁組」という法的な手続きが必要になります。

さらに、遺言書の中で「遺言執行者」を指定しておけば、相続手続きを代行してもらえるため、家族間の感情的対立を避ける一助になります。

② 養子縁組の検討

連れ子を本当の子どもと同じように扱いたいという場合、養子縁組をしておけば、連れ子も法定相続人となり、実子と同じ相続権を持つことができます。
これは、再婚家庭での愛情を法的にも保証する手段となります。

一方で、成人した連れ子との養子縁組は、連れ子に相続権を与える唯一の方法ですが、以下の点に注意が必要です。

  • 他の相続人との利害や感情の対立
  • 扶養義務など法的関係の変化
  • 戸籍・将来の相続関係への影響
  • 遺言との整合性

したがって、**「信頼関係が築けているか」「長期的な影響を考慮しているか」「遺言や他の家族への配慮は十分か」**を踏まえ、専門家と相談のうえ、慎重に判断することが大切です。

まとめ

「想い」は、法的な形にしておかなければ伝わりません。
再婚家庭、連れ子のいる家庭、前妻との子がいる場合など、複雑な家族構成においては、どれだけ愛情を注いできたとしても、それだけでは相続トラブルを防ぐことはできません。

「うちは話し合えば分かり合える」
そう信じる方ほど、いざというときに備える遺言と、必要に応じた養子縁組の検討を、ぜひ前向きにご検討ください。

話しにくい話題こそ、「第三者」が入る意味があります

相続の準備といえば「遺言書」と思い浮かべる方は多いものの、それ以前の段階——つまり、家族で相続の話題をきちんと話し合える環境を整えることが、実は最も重要で、かつ難しい部分です。
当オフィスでは、ご相談者さま方にしっかりと寄り添い、「話し合いの場づくり」のお手伝いをします。

  • 家族だけでは切り出しにくい「相続の話題」に、専門家として第三者の立場から同席
  • 相続人となる方々の立場や気持ちを整理しながら、話し合いを前向きに進めるための助言
  • 判断能力があるうちに、公正証書遺言任意後見契約・委任契約などの準備をスムーズに実施

相続や遺言のご相談は、「民亊法務の専門家」と「実務の現場」を知る当オフィスにお任せください。

当オフィスでは、行政からの許認可を受けたうえで、遺言相続任意後見契約などの民事法務を中心に、書類作成から公正証書の手配まで一貫して対応しております。
さらに、不動産の売買、建物の解体、不用品処分、遺品整理、不動産の相続手続き、名義変更に関する書類作成のご支援までワンストップでの対応が可能です。

法律だけでなく、現実に必要となる作業までを一括でご相談いただけるため、ご家族の負担を最小限に抑え、安心して将来に備えることができます。

「まだ早いかも」と思った今こそ、最適なタイミングです

相続準備は、「何か起きてから」では間に合わないことが多くあります。
「家族のもめごとを避けたい」「今は元気だけど、いずれに備えたい」
そう感じたときが、準備を始めるベストタイミングです。

「まだ早いかな」「家族にどう切り出せばいいかわからない」「どこに相談したらいいのかわからなかった」という声を私たちはたくさん聞いてきました。

だからこそ、その一歩を一緒に踏み出すための伴走者として、私たちがお役に立てればと思っています。

無料相談から承っております。当オフィスまで、どうぞお気軽にご連絡ください。お気軽にご連絡ください。。

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