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不用品処分業務についてのお知らせは、つい先日詳細をお知らせさせていただいたばかりですので、本日は離婚協議における不動産の名義変更について詳しく書かせていただければと思います。
協議離婚時の不動産名義変更と相続登記義務化の関係
令和6年4月から開始された「相続登記の義務化」は、相続だけでなく、不動産名義に関する法意識の高まりにもつながっています。
離婚に伴い共有不動産の名義を変更する際にも、将来の相続を見据えた正確な名義変更が重要です。
以下では、「財産分与」と「個人間売買」の2つの名義変更方法について、それぞれ注意点を解説します。
1.財産分与による名義変更の場合
【法的根拠】民法第768条(財産分与)
【登記法】不動産登記法
【税法】所得税法・贈与税法
主な注意点:
- 離婚後2年以内に財産分与の請求を行う必要があります。
- 不動産登記の「原因」は「財産分与」とし、離婚協議書や財産分与契約書が必要です。
- 登録免許税は固定資産税評価額の0.4%です。
- 原則として贈与税の課税対象にはなりませんが、過大な分与と見なされると課税の恐れがあります。
- 【相続登記義務化との関係】
財産分与により単独名義となった後は、誰が相続権を持つかが明確になります。このことは、将来の相続時に相続登記の履行義務が生じた際、手続きの迅速化や争いの予防につながります。
➤ 例:登記を先送りにしたまま死亡すると、法定相続人に義務違反(10万円以下の過料)のリスクが生じます。
2.個人間売買による名義変更の場合
【法的根拠】民法第555条(売買)
【登記法】不動産登記法
【税法】所得税法・譲渡所得課税・贈与税法
主な注意点:
- 実質が贈与であるにもかかわらず、形式的に売買とすると贈与税の課税対象となるリスクがあります。
- 適正な時価での売買、売買契約書の整備、金銭授受の証拠が必要です。
- 登録免許税は評価額の2.0%。
- 売主には譲渡所得税が課税される可能性があります。
- 【相続登記義務化との関係】
売買によって名義を取得した場合、その名義人が将来死亡すれば、相続登記の申請義務が相続人に発生します。
特に旧名義人の死亡後に売買登記をしないままにしておくと、その不動産は相続登記義務化の対象となり、後の手続きが極めて複雑化する可能性があります。
目次
【まとめ:相続登記義務化と正しい名義変更の重要性】
比較項目 | 財産分与 | 売買 |
---|---|---|
登記原因 | 財産分与 | 売買 |
登録免許税 | 評価額の0.4% | 評価額の2.0% |
贈与税リスク | 適正分与ならなし | 時価より安い場合はあり |
譲渡所得税 | 基本的に発生しない | 売主に課税の可能性あり |
相続登記との関係 | 単独名義化で将来の相続が明確化 | 売買後の名義放置は重大なリスク |
協議離婚後の不動産名義変更は、登記・税金・相続の3点を総合的に考慮する必要があります。
当オフィスでは、民事法務・相続対策に精通した専門スタッフが、将来の相続トラブルも見据えたご提案とお手続きをサポートいたします。